柴犬日々、はぐくみネットには、全国の看護学生や、職場でさまざまな悩みや困りごとに向き合う皆さんから、多くの相談が寄せられています。
無事に実習や試験の壁を乗り越えて笑顔を取り戻す方もいれば、悔しくも一度夢を諦める決断をする方もいます。
どちらの道を歩むことになっても、大きな困難に直面して苦しんだ方は、心に深い傷を負っていらっしゃいますよね。
私が現場で長年管理者をしてくる中で気づいた「人の育て方」と「未来の看護」についてお話しさせてください。
負の連鎖はなぜ起きるのか?
現場や実習の場で嫌な思いをしたとき、誰もが最初は「自分が先輩になったら絶対にこんな理不尽な教え方はしない」と心に誓うはずです。
ですが、現実はそう甘くありません。
いざ自分が教える立場になると、なぜか自分がされて嫌だった指導をそのまま後輩に再現してしまう人が後を絶たないのです。
人は切迫した状況や余裕がない状態に置かれると、自分が過去に経験したパターンを無意識にトレースしてしまう、と私は思っています。
人間の脳は、体験したことのない「優しい指導」や「肯定的な関わり」を急にアウトプットすることが苦手なのではないでしょうか?
反面教師にするというのは、口で言うほど簡単なことではありません。
「私は絶対に変える」という強い信念と相当なエネルギーがない限り、気づけばかつて自分を傷つけた先輩と同じ言葉を吐いてしまいます。
この負の連鎖こそが、医療現場の大きな課題だと私は感じています。
七転八倒して気づいたこと
偉そうなことを言っている私だって、最初から理想的な先輩だったわけではありません。
頭が良くて要領がよくて褒められて成長したわけでは・・・もちろんありません。
理不尽に責められことも、逆にまったく相手にもしてもらえないことも、男性という立場から女性社会に自分なりに苦しんだことも山のように経験しました。
その数年後には、「現場の厳しさを教えるのが優しさだ」なんて勘違いをして、自分が受けてきたような硬くて威圧的な指導をしてしまった時期はありました。
だけど、あるときふと気が付きました。
「人は教わったようにしか教えられないんじゃないか」と。
そこからは七転八倒の日々でした。
どう言えば相手の自発性を引き出せるか、どうすれば恐怖ではなく好奇心で動けるようになるか、自分なりの先輩像や指導方法を必死で模索しました。
自分のやり方を否定して作り直す作業も正しいのかまったくわかりません。
ただ、日々共に働く仲間をアセスメントし続けプランニングする。
それを繰り返し続けているからこそ、私は負の連鎖から抜け出すことができたのだと思っています。
自分を変えるのは「素晴らしい出会い」から
私が自分のスタイルを変えられた最大の理由は、間違いなく「素晴らしい人たちとの出会い」があったからです。
厳しいけれど根底に深い愛情を持っていた先輩、理不尽な風潮に立ち向かっていた同僚、そして未熟な私を信じてついてきてくれた学生や後輩たち。
彼らとの出会いや掛けてもらった温かい言葉を、私は自分の中で何度も反芻し、大きく育ててきたのです。
はぐくみネットで相談を受けているメンバーたちも、全く同じ思いを抱えています。
最初から傷ついたことがない聖人君子なんて一人もいません。
みんな過去に理不尽な思いをしたり、挫折しかけたり、誰かを傷つけてしまった悔しさを抱えながら、それを乗り越えてきた人間たちです。
だからこそ、今苦しんでいるあなたの痛みが痛いほどよく分かります。
いつか現場で「はぐくみネットにいました!」と笑い合いましょう
今、実習や勉強でボロボロになっているあなたに伝えたいです。
あなたが今味わっているつらさや傷ついた経験は、決して無駄にはなりません。
その痛みを知っていること自体が、将来あなたが誰かを導く立場になったときの最高の強みになります。
負の連鎖を断ち切るには信念がいります。
だけど、一度その痛みを乗り越えたあなたなら、絶対に後輩に優しく寄り添える看護師になれるはずです。


看護師長・タケウチのはぐくみ公式note 絶賛連載中!
NPO法人「全国看護学生 はぐくみネット」では、さらに多くの看護学生の皆さまをサポートするため、noteでの情報発信を行っています。
相談員である私タケウチが、自身の「赤点常連だった学生時代」から「現役の看護師長」に至るまでの経験をもとに、実習や学校生活の悩みを解決するヒントを綴っています。こちらもぜひお読みください!
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