トラみなさん、こんにちは。看護教員の「トラ」と申します。
普段は、全国看護学生はぐくみネットの相談業務に携わっています。
近年、相談内容は多様化していますが、その中でも特に多いのがハラスメントに関する相談です。
相談者の中には、「黙っていても涙が出てしまう」「食欲がない」「死んで楽になりたい」といった、深く辛い気持ちを打ち明けてくださる方も少なくありません。
実際、看護学生を取り巻く環境はとても厳しいものです。
看護師として働くためには、学校を卒業し、国家試験に合格しなければなりません。
学生の中には奨学金を借りている方も多く、健康面や家庭の事情など、さまざまな不安を抱えながら学んでいる方もいます。
だからこそ、看護師を目指すことは、多くの学生にとって「人生をかけた大きな挑戦」だと言えるでしょう。
一方で、それは「卒業できなければ、これまでの努力や時間が無駄になり、借金だけが残ってしまう」という強いプレッシャーにつながることもあります。
私はこの考え方だけが真実だとは思っていません。
大切なのは結果だけではなく、その過程であってほしいです。失敗も含めて、経験は必ず自分の財産になり、将来の糧になると信じています。
人生は何度でもやり直すことができますし、別の道を選んだ先にも、新しい可能性や素敵な出会いが待っているかもしれません。
しかし、辛い状況にある時ほど、人は自分を責めてしまうものです。実際に費やした時間や費用を思うと、簡単に前を向けない気持ちも十分理解できます。
そうした中で、前に進む気力も、方向転換する勇気も持てないまま、心身ともに追い込まれてしまうことは決して珍しくありません。
そのような思いを抱えている方々に対して、「まずは自分自身を大切にしてほしい」「休んだり、迷ったりしてもいい」と伝えることが、私たち相談員の大切な役割の一つだと考えています。
また、看護師への道のりが厳しいからこそ、教員の関わりは学生の人生に大きな影響を与えます。
教員が学生にとって良き手本となり、支えとなることで、厳しい学生生活を乗り越える大きな力になります。
しかし一方で、関わり方を誤れば、学生の自尊心を深く傷つけ、将来そのものに影響を与えてしまう危険性もあります。
特に、「看護師に向いていない」「なぜそんなこともできないの?」といった言葉で、不安や危機感を煽ることで学生を動かそうとする指導には細心の注意が必要です。
もちろん、本人は「学生のためになる」「これが正しい教育だ」と信じており、学生にいじわるしているとは思っていないでしょう。
ですが、その言動が常識的な範囲を超えた時、ハラスメントとなり、学生を深く傷つけてしまうことがあります。
現在、看護師を目指す人は年々減少しています。
だからこそ今、教員一人ひとりが、自分自身の教育の在り方を倫理的な視点から見つめ直す必要があると私は強く感じています。

